Важно !!!!
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Sachiko
| Дата: Воскресенье, 08.02.2009, 18:20 | Сообщение # 1 |
...ʁɔvʎнdǝʚǝdǝu dиw...
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| どこかで鐘が鳴っている。視界はまた霧の中で、まるで北へ向かったあの日を繰り返しているようだ。実際は煙に巻かれたあの夜から飛鳥を南下し、櫂持ちと合流して山ほど丸太を積み込み、壬へ入ろうとしている。霧の向こうにも彼ら二人の影が薄く見える。それでも、全て幻のように感じられるのも事実だ った。 暁はゆっくりと体を起こした。 もたげた頭がずきんと強く痛む。こめかみには縁に押されて凹んだ跡が付いていた。 頬に当てていた切れ端が膝もとに落ちている。拾い上げて水に浸し、また頬を冷やした。ぞっと体を寒気が走り抜ける。刀傷の口だけは縛ったものの、衿元も左の袖も裂 けたままで、夜を過ごした体は冷え切っていたのだ。 「着ときな」 肩に、ずっしりと乗るものがあった。ぽんと背を叩く掌が何よりも温かい。……暁は肩から夜着を落とした。浬が呆気にとられた声を出す。 「もしかして暑いの」 「寒いけれどっ。私は……今、自分を律しているんだ。だから 」 言い終わる間もなく、また肩が温かくなった。 「馬鹿なこと言うんじゃない。くだらない意地で倒れたりしたら、こっちにまで迷惑が掛かるんだよ。反省は大いに結構、でも状況を考えてからにしなさい」 暁も、今度は何も言い返さずに衿を重ねた。内側の生地がじんわりと温まって、心地よ さに目を閉じる。浬は暁の前に、縁を背にして腰を落ち着けた。 「それに目のやり場にも困るんだ」 独り言のように浬が付け足した言葉の意味を、暁は眠い頭で考える。すぐに顔を上げた。 「……注意していればすぐに分かるよ。袖口や袂を押さえる癖とか、体つきも華奢だし、そうそう、あと筝 も弾けるんだっけ?」 「それ、織楽から……。違う、筝は近くに教えていた人がいて」 「手、出してみな」 暁がおずおずと出した二つの手のうち、浬は左を選んだ。 「このことか。指を見れば分かるって言ってたけど」 暁も改めて自分の指に目をやり、諦めたように肩を落とした。親指 から中指まで、弦を押さえる指のみ、皮の質がまるで違う。だからこそ、血判を押すときも親指は選ばなかったのだ。 「こればっかりは、聞きかじりだ、で言い訳できるものじゃないね」 笑い声で言うと、浬は暁の手を放した。暁はすぐに拳を握り、自分の膝に戻してしまう。 「これ以上隠すなん て今更だろ、一年も暮らしてきて。そりゃあ出会ったばかりの頃は恐かったんだろうと思うけどね」 「それだけじゃない。最初からそうだと知っていたら、決してこちらには関われなかったはずだ」 浬はじっと、目の前の壬びとの顔を見つめた。誰が関わらせないという話ではない。あの家の隅々まで 、その空気は満ちている。流れに逆らうには、嘘を吐き続けるほか道は無かっただろう。 「……そうだね」 霧がわずかに薄まったようだ。二つの影のうち、香ほづ木売りが首を回しているのが見える。 「それにしても、自分を律するだなんてやけに殊勝だね。よっぽど殴られたのが堪えたか」 浬 は暁の右頬を覗き込むようにして見る。 「当分引かないだろうね、その腫れは。高い勉強代だと思うしかないよ。ま、これで一つ分かったことがある」 暁は首を傾げると、膝に置いていた布を舟の外の水でもう一度湿し、自分の頬に当てた。浬は肩越しに、艫で腕組みしたまま眠る針葉を振り向いた。 「あの人はまだ気付いてないってことだ。これからどんどん隠すのが難しくなる、言うなら今だと思うけど」 暁は言葉なく首肯する。浬はそれから身を伸ばして、暁の傍らに置かれた刀を手に取った。 彼がその刀について何か言うことは無かった。唇を結んだまま鞘から刃を抜き、しばらく眺め てまた戻す。暁が大事に抱えてきたことから、それが何であるかは気付いているようだった。それでも元通りに置いてからは、刀のことなどすっかり忘れたかのように、暁を殴り飛ばしたときの針葉の形相について耳打ちするのだった。 暁も時折頷き、後ろで眠る男に聞こえないよう二言三言を返す。 う っすらと白に包まれた景色を、流れのまま進む舟旅は、なんと安らかであることか。暁は、目を細めて話す東雲びとに目尻を下げる。 言ってやりたかった。 あの夜見た血の気ある三つの顔、その中で、どれが一番穏やかで、しかし言い知れぬ恐れを感じさせたか。波紋一つない水面のように、そこに は殺気の欠片もなかった。 殴り飛ばされたときは相応に苦しくもあった。それでも結局、今ずきずきと痛むのは右頬なのだ。 水面を鳥の影が滑っていく。舟はそろそろ壬へ入ろうとしていた。 暁が針葉に拳を返す日は、本人が思っていたよりずっと早くやって来た。 帰って 半月ほど経ったころ、既に正月の熱気も冷め、紅花の下知のもと、新年にずれ込んだ家じゅうの掃除や補修も終わりを迎えようとしていた。以前物置だった暁の部屋は、障子が西日に焼けたままで、本人も気付かぬうちに上方の一部がべろりとめくれていたが、ようやく張り替えも終わり、これで心ともども新年 に追い付こうというものだ。 その夕、織楽を除いた六人は食事を終えたばかりで一部屋に留まっていた。 箱膳を集める浬の横で、黄月は暁の左袖をまくり上げ、膿や熱も抜けて塞がりかけた傷口に目を寄せる。こうして腕を取られていると、一年前も同じように傷を診てもらったのだと思い出す。傷 口を湿し、薬を選ぶ手に、一切の迷いはなかった。 手際のよさと同時に、彼に見えているのは腕だけなのだろうと暁は思う。彼の目は傷で人を見分けるのだ。 「そっちは」 黄月は腕を放して暁の衿の合わせを指す。暁は衿を押さえて目を伏せた。 「腕と変わらない。わざわざ見てもらうまで も」 「それは俺が決めることだ。手を退けろ」 しばらく場の膠着が続いた。不自然な沈黙が他の者の目を呼び、いつの間にか部屋全体が静けさを帯びる。箱膳を置いて戻ってきた浬も、相手を最小限の力で投げ飛ばす方法を説明していた紅砂も、とりあえず実践しようと浬に掴みかかった針葉も、それ を叱りつける紅花も、何ごとかとそちらに首を向けていた。 暁は目を上げ、覚悟を決めて口を開いた。 「十五を迎えた今、不用意に肌を晒すわけにはいかない」 黄月の顔にこれといった驚きは見えなかった。心底面倒だという顔で、これだから、と吐き捨てただけだった。 「誰が肌を見せろ と言った。傷だけで事足りる、早くしろ」 そうだ、傷の持ち主のことなど構いやしないのだ、この男は。今までの逡巡と恥じらいに肩透かしを食らったような気がして、暁はぷいと顔を背けた。 再び衿を合わせるより早く黄月は部屋を出ていく。背丈のある後姿を睨んでいると、視界の端で立ち上が る者があった。 「今何つった」 そちらを向き、暁は顔を強ばらせた。見下ろす針葉の顔にはありありと険が見て取れる。その後ろで紅花が首を伸ばした。 「聞いた通りよ、驚かなくてもいいじゃない。疑ったことくらいあるでしょ」 「……男だと、言った覚えはない」 確かに男ものは着 ていた、髪は短く切っていた、でもそう誤解したのは針葉の側だ。ささやかな反抗のつもりだった。 しかし暁が声に出した途端、針葉の目つきは今までにない鋭さを見せた。右頬に飛んできた拳を思い出し、思わず顔をしかめて目を逸らす。畳に落ちた影はすたすたと暁の膝に上り、目の前に針葉の顔が現 れた。 ぐっと目を閉じて歯を食いしばった。 ……骨ばった手が伸びた先は頬ではなかった。 針葉がすっくと立ち上がる。ぽかんと見上げる暁の前で、彼は紅花たちに向かって口を尖らせた。 「ふざけんな、こんな板っきれみたいな女がどこに」 言葉になったのはそこまでだった。 立 ち上がりざまの暁の拳が不精髭の顎に命中する。振り返った顔の真正面に、すかさずもう一発。 「……っ何すんだてめえ」 のけぞった態勢から元に戻り、針葉が怒鳴る。暁は唇をふるふると震わせ、殴り付けた側だというのに今にも泣き出しそうだった。一歩後ずさり首を振る。 「わ……私は悪く ないっ」 「おい待ちやがれ!」 走り去る暁を追おうとしたが、すぐに鼻を押さえて立ち止まった。不機嫌な声で舌打ちし、畜生と呟く。 「紅花、何か拭うもん寄越」 言葉が終わらないうちに、投げ付けるように布が飛んできて針葉の頭を覆った。今度こそ怒りは頂点だ。どんと畳を踏んで振 り返る。 「紅……」 「それ以上寄らないでちょうだい」 ぴしゃりと言い放つ声。睨みつける先に冷ややかな目があった。 「あぁ? 何だってんだお前まで」 苛立って大股で歩く、その途中で腕が掴まれる。 振りほどこうにも動かない、この感じには覚えがあった。そろそろと視線 を下ろし、静かに正座している男のつむじに声をかける。 「紅砂……」 「紅花の言ったことが聞こえなかったか。それとも、聞いても分からなかったか」 暗に、分からせてやろうかと言っていた。体一つの勝負では紅砂に分がある。今まで体格で劣っていたぶんも、紅砂は着々と埋めつつあった。 針葉は鼻血を拭い、ゆっくりと足を戻す。指が緩んだところで、ぶんと勢いをつけて振りほどき、苦々しげに部屋を一瞥した。 「胸っ糞悪ぃな」 それだけを言い残して、針葉も部屋を出た。広い背中に向けて、紅花が蔑みの目を投げていたことには気付かなかった。 し としとと絹のような雨が落ちて、節くれだった枝からまばらに息継ぐ、小さな白梅の花弁を打つ。傘をひょいと傾けると、川の向こうの裸の枝には、けぶるように赤がぼやけていた。はち切れんばかりに膨らんだ桜の蕾が、今か今かと開くときを待っているのだろう。 暁は布包みを抱えて歩く。解いた中に はカゾの葉があり、そのまた中には小藤が包まれている。坡城へ来てから四度目の雨呼びの準備だった。 香ほづ木売りのいるあの地域も、最初行った頃に比べると、少しは落ち着いてきたように思う。血や吐物の匂いを嗅ぐことは免れなかったが、要るのは香ほづ木だけだと決めていれば、巻き込まれない ようにするのは難しくない。 人の行いが醸し出す腐臭という一面に、少しは慣れたのかもしれなかった。 それを諦めと呼ぶのだろうか。傘の隙間から、馥郁たる香と品よく並んだ五枚の花弁が見えた。 まだ蒲団の外は、特にこんな雨降りの日は指先爪先が冷え込んだが、匂い立つ季節が近付い ているのだと肌で感じる。 たった一輪の寂しさも、切り枝の痛々しさもない。四方で始まる鮮やかな色の移り変わりは、目に痛いほどだった。 昼過ぎには家を出たのに、帰る時間ともなればもう日が傾き、鈍色の空は闇の紗をまとう。 水の浸みた地にまた雨粒が落ち、ぴちゃぴちゃと盛んに音 を立てていた。ぬかるみに足を取られないようにと足元を見て歩く。吐いた息はまだ、暗がりに薄白く残る。 あとどのくらいで帰り着くだろうか。一人きりで歩く暗い道、果て無く続く雨音、いつの間にか心が焦れていた。 やはり誰かに付いてきてもらえば良かった。 肩を落としたところで、 道が斜めに折れた。ほっと心が軽くなる。このまま歩けばすぐ橋に差し掛かり、その向こうは大通りだ。 包みを抱え直して歩を速める。 そのとき風が動いた。水気を含んで重く、冷たく、肌から熱をかすめ取ってしまう。木の葉のざわりとさざめく音、その向こうに高く鳴く声、空耳か―― ぞ わりと腕に鳥肌が立つ。寒い、それ以上に、何なのだこの怖気は。 橋の手前で足が止まった。その向こうには見慣れた風景が雨に沈んでいる、行かなければ、自分を説き伏せて足を踏み出す。 誰かいる。 背筋が凍った。 どこにも見えない、いやどこかにいる、密やかな息を……感じる。 背中が重い。胸が詰まって息ができない。包みを握る指に爪を立てて、まだ無事だと言い聞かせる。とにかく歩かなければ。進まなければ逃げ場はない。 橋を渡りきり、また雨の浸みた柔らかな地の感触が戻ってくる。途端ふっと、体に纏わりついていた重苦しさも消えた。数歩進んでも何も起きな いと確認して後ろを振り向く。 誰もいなかった。 信じられずしばらく見つめていたが、気配の一つも感じられず、ふいと前に向き直って灯りの並ぶほうへ走った。 人けのない大通り、まるで夜の底に紛れ込んだようだ。ばしゃばしゃと泥水を跳ね上げながら、途中で左に曲がり、木々に閉ざさ れた急な坂道を、胸の潰れそうな思いで駆け抜ける。 「お帰り。遅いからどうしたのかと思った」 戸の音を聞きつけて紅花が出てくる。いつもと変わらぬ声を聞いて、思わず板間にへたり込んだ。荒く息をつく肩に、手が下りてきてぽんぽんと叩く。 「帰ってくるなり、なんて顔してんの。足拭い てから上がりなさいよ」 まだ声が出ない。こくこくと頷いて板間に腰掛ける。改めて見た足は雨に濡れて冷え固まり、泥に汚れて見るも無様だった。 板間の隅には生地の弱くなった手拭いがいくつも重ねられている。一枚取って、まずはカゾの葉の包みを取り換えた。勿体ないが仕方ない。次の一枚 で一つ一つの水滴や汚れを拭き取るうちに、胸も落ち着き、温まる指先から、同時に緊張が流れ出していくのを感じた。 壁の向こうからくぐもった賑わいが聞こえる。何やら魚の焼ける匂いが漂って、腹が情けない音を立てた。 早くあちらへ行きたい。 自分がこれほど家を恋うるのがおかしか った。帰るという言葉には、甘い響きさえ潜んでいるように感じられた。 壬に家はあったが、帰ったことが何度あっただろうか。 暁は目を伏せて立ち上がると、包みを自分の部屋に置き、他の者のもとへ歩んだ。
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Chrome
| Дата: Воскресенье, 08.02.2009, 18:23 | Сообщение # 2 |
~Haru~Haru~
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| эт что?
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Chrome
| Дата: Воскресенье, 08.02.2009, 18:30 | Сообщение # 4 |
~Haru~Haru~
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| Риза, да ну все учим японский и переводим это же на японском?
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Sachiko
| Дата: Воскресенье, 08.02.2009, 18:32 | Сообщение # 5 |
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| Lenalee, ну да, на японском...xDDDDDDDDDDDDDD а вот ещё Винни Пух на японском...xDDDDDDDDDDD 「さて、あの道を抜ければすぐだ」 紅砂が指差していたのは、普通に歩いていれば見逃してしまいそうなごみごみした小さな通りだった。大通りと同じように前後に並んで進む。時々何かを踏む感触があって顔をしかめることとなったが、それが何か確認するにも狭くて出来そうになかった。 や っと抜けた先は別世界だった。奥に広い地面を埋め尽くすのは、座り込んだ商人とその品々だ。頭、頭、その向こうにも頭が蠢くのは、石をひっくり返して見られる虫の群れのようだった。彼らは壬びとの特徴を持った者が多かったが、それに混じって黒髪もちらほら見られた。 「良かった、これだけ壬びと がいればきっと見付かる」 しかし紅砂は、歩き出そうとした暁を引き留めた。 「俺から離れるな。行きたいところがあれば必ず声をかけろ」 「でも見たところ一本道だし、迷うことなんて」 暁が言った正にそのとき、近くでわっと喚声が上がった。振り返った目の前の地面に、そう年の違わ ない青年の体が飛んでくる。彼は少しの間歯を食いしばって呻き、切れた唇の血を拭って起き上がった。口を覆う指の間から、鼻血が赤い筋となって漏れる。 そこに人ごみを分けて、殴り飛ばした張本人らしい三十四十ごろの大男が出てくる。 「暁、下がれ」 紅砂に腕を引かれて遠ざかる。何事 かと集まる人々を逆流し、ようやく自由に動けるところまで離れたときには、もう彼らを囲む二重三重の人の輪が出来上がっていて、その内で何が起きているかは、囃し立てる周りの反応でしか知れなかった。 「何だ、あれ……」 「盗んだか、けちでもつけたか、単に虫が好かなかったか。何にしても、 巻き込まれていいことはない。当分は通れないから、こっち側を回ろう」 しかし暁は騒動を見つめたままだった。取り囲む群衆は、腕を振り上げ声を張り上げて、まるで楽しんでいるようだった。様子からすると、どちらかがどちらかを一方的に叩きのめしているのだろう。一目見た体格で、それがどちら なのかは考えるまでもなかった。 「どうして……止めないんだ」 今見ているものが信じられなかった。皆が皆、自制を失って酔ったように騒ぎ立てる。実際、喧嘩騒ぎに酔っているのだろう。今、暁の立っている場所からそれがどのように見えるのか、見せられるものならそうしたかった。それがどん なにおぞましい光景か、教えてやれるものなら。 「ここでは珍しいことじゃない、いつ来てもあんなもんだ。あいつ、歩いて帰れたらいい方だろうな」 「そんな、だって壬では」 「暁、ここは壬じゃない」 厳しい紅砂の声に、暁は目を見開いた。一瞬、全ての喧騒が遠くなった。 「よっ、 兄ちゃんたちも喧嘩かい。一発派手なもん見せてくれよ」 通りがかりの客が囃し立てたが、二人が反応しないと見ると、すぐ群衆の中に混ざっていった。紅砂がもう一度、諭すようにゆっくり声を吐き出す。 「ここは壬じゃない……壬に近い坡城で、壬から人が大量に流れ込んだばかりの、一番危ない 場所だ」 息が止まるようだった。壬を一括りに危険なものと捉えているのが許しがたく、しかし目の前で起こった騒動は、紛れもない真実だった。 「二年前、東雲から流れ込んだときも同じように、一部の地域がひどく荒れた。坡城びとはそれを覚えている。黄月がお前を一人にさせなかったのも同じ 理由だ。今みたいな騒動も一つだが、それ以上に、壬の顔は今、疚しいことがなくても不信の対象になるんだ」 がつんと頭を殴られるようだった。紅花が暁を紹介するとき、何故二年以上前からの知り合いと言ったのか、そして続けて東雲びとと名乗るよう言った葦にも、合点がいった。 ここは借り 物の場所でしかない。改めて突き付けられたその事実は、暁の体に寒々と染みていった。 日は傾いていく。騒動はどうにか収まり、あれほど集まっていた人も今は散っていたが、どうにもそこを踏む気になれず、暁は香ほづ木売りを探して同じ場所をうろついていた。 どうしても見付けられない と悟ると、反対側へと歩いたが、地面にべっとりと付いた血の跡には目を向けないようにした。それほど血を流した青年の体は、どうしたことか綺麗に消えていた。出血量ほどに傷はひどくなかったのだと無理やり思い込んで、騒動のことは頭から追い出した。 改めて歩いていれば、薄汚い壁の近くは吐瀉 物でぬかるみ、その近くにいくつもの痩せた体がだらんと転がっているのが見えた。甘味をおびた酸っぱい匂いが時々鼻をつく。ここに着いたばかりのときだって、きっと見えてはいたのだ。 厄介事を避けるためと理由を付けて、並んだ品のみに目をやる。心に澱が溜まっていくようだった。 「どうだ 、ありそうか」 暁は苦しい表情で唸って、次の商人の広げた布の上へと視点を移す。そうしてのろのろと歩いた先で、ようやく足を止めた。 四十前ごろの男が一人、土の上に布を広げて胡坐をかいている。着ているものは埃だらけ、不精髭に落ち窪んだ目、文句を言いたそうに開いた口から黄色い歯 ののぞく、世辞にも声を掛けたい商人ではなかったが、彼の前に無造作に広げられている乾涸びた木片は、間違いなく暁の探していたものだった。 暁はほっと膝を曲げ、銭袋を取り出した。 「小藤を一欠け」 しかし男は暁を見てにやにや笑うだけだった。 「挙句の果てにゃ、お前みたいな餓 鬼が小藤を買いに来るときたか。世も末だな」 暁は眉をひそめて男のにやついた口元を見た。男は追い払う仕草をして、後ろに立っている紅砂に目を向ける。 「ほら兄ちゃん、早いこと連れて帰っておまんま食わせてやんな。餓鬼に売るもんなんざ、ここじゃ扱ってないんだよ」 「買いに来たのは 私だ。それに、払うものは払うんだ、理由も無しに売らないというのは解せない」 「私は解せない、だとよ。なんっとも気取った言葉遣いだな、え?」 横を向いてひとしきり笑い、男は暁に向き直った。 「ここに来てから、声がかかるのはお前みたいな大尽ばっかりだよ、お坊ちゃん。金さえあり ゃ何でもできると思ってやがる。俺はなぁ、こんな汚いなりはしてても、扱うもんにゃ一切甘えは許してないつもりだ。飛鳥の近くまで川を上って、今までと同じ質のもんを出してる。命懸けだ。だがな」 そこで一度言葉を切って暁を睨め付ける。 「客にゃ正直うんざりだ。大火に乗じてぽっと金を掴 んだだけの奴が、平然と値打ちも分からん木を買っていく。悪くなりゃ雨呼びの作法すら知らん。ふっかけてみたところで、怒りだすならまだ良いほうだ。下手すりゃ、高けりゃ高いだけ良いんだろうとにこにこしてやがる。全く反吐が出るぜ、気触れどもが」 吐き捨てるように言うと、男はふっと口を噤 んだ。飛んでくる唾に顔をしかめていた暁を押しのけるように、布の対角の端を掴む。 「片付けの邪魔だ。分かったんならさっさと行きな」 しかし暁は引き下がろうとしなかった。胡散臭そうに見つめる男の目を見返して、低く淡々と話す。 「別に気触れて買いに来たわけじゃない。壬にいられな いからといって、流れる血の源である式まで諦めるのが許せなかっただけだ」 「気触れじゃないってんなら、小藤を選んだのはどういうわけだ」 「他ならいさ知らず、雨待ちのこの時期に、それ以外では礼を欠く」 後ろで聞いている紅砂は、男の表情が静かになっていくのを危惧していた。あれだ け激昂していた男が、これほど落ち着いた素振りを見せるのは危ない……。いざとなれば暁を縛り付けてでも帰るつもりだった。 しかし予想に反して、男は落ち着きを取り戻したように布にかけた手を戻し、木片を並べ直し始めた。 驚いて目を丸くする暁を正面から見据えて、男は口を開いた。 「 そこまで言うんならやってもらおう。火の糧に放り込むような屑木から、お前の望む小藤まで、ここにはありとあらゆる香ほづ木が並んでる。均し値は鈍ひら三枚、壬銭なら小鍔二枚。どれを選んでも掛け値なし、文句もなしだ」 「安いものを選べばあなたの勝ち、高いものを選べば私の勝ちということか」 「小藤以外はこっちの勝ちと言いたいとこだが、まあそういうことだ。乗るかい」 頷くより先に、暁は木片を選り分け始めていた。色の濃いものを右に、白みがかったものを左に置いていく。全て分けた後で、右を指して顔を上げた。 「こちらは仕舞っていい」 つまり色の濃いものの中に、 暁の言う「小藤」は無いということか。紅砂は男に視線を移したが、彼は眉一つ動かさずに示された方を片付けている。 次に暁は表面や断面を観察し、いくつかを右に移した。次はこちらを、と男に告げ、男はまた顔を変えずにそれらを仕舞う。残ったのは、最初にあった木片の四分の一程度だった。どれ も似た色、似た見た目のものばかりだ。 その内から一つ手に取り、手で覆うようにして鼻に近付けた。それもまた左右に分けていく。あるものはすぐに、またあるものは時間をかけて、右に積まれていくのは左に残したものより多かった。紅砂は暁の右隣に膝を付いて、積み上がったものの一つを手に取る 。 息とともに鼻腔をすり抜けたのは、かすかに甘酸っぱい香りだった。それを戻して他のものも試すが、どれも果物を思わせる軽やかな芳香を放っていた。 次に左から一つ取って嗅いでみる。途端、眉を寄せて顔を離した。 悪臭というわけではない。だが甘いのか苦いのか、むせるように濃い 、独特の重みある香りだった。彼の反応など意にも介さず香りを聞く暁に、紅砂は顔をしかめて木片を返した。 さすがに今回は右を残すのではないか、そう思ったのも束の間、最後の木片を嗅ぎ終えた暁が仕舞うよう言ったのは、これまでと同じ方だった。 木片は残り少なくなっていた。香りによる 選り分けを何度も繰り返して、一つずつ、慎重に落としていく。 ふと空を見上げた紅砂は、日がほとんど落ちているのに気付いた。周りの商人はちらほら荷をまとめ始め、残っている者も夕闇の中で、今までとは違う品を並べ出していた。そろそろ夏至も近いこの時期、長居をしすぎたと視線を戻す。 つ いに残りは二つになっていた。さすがに最後の選択には惑っている様子で、何度も鼻に近付けては首を捻る。一つを右手に、もう一つを左手に持ってじっくり見比べるが、暮れた後の薄闇に包まれたこの時間では、色の違いなど分かりそうにもなかった。 しばらく両方に目をやって、暁が差し出したのは右 手の木片だった。見ればぽつぽつと虫が食ったような穴が開いている。左手の木片もその場に置いたが、そちらはつるりと木目が詰まっていた。差し出された木片を、男はひょいと掴む。 「こっちを戻すんだな。待ったは無しだぜ」 「いや。……選ぶのはそちらだ」 男の表情が強張った。紅砂はど きりとしてそれを睨み付ける。暁は鈍ひらを三枚出したが、男は険しい顔でそれを見つめるばかりだった。 「これだけ訊こう、何だってこの虫食いを選んだ」 「それは……理由は分からないけれど、今までに焚いた小藤はそちらだった」 「……なるほど、何が何でも小藤を使い慣れてるって言うんだ な」 男の肩からふっと力が抜けたように見えた。 「お前の勝ちだ。こっち、お前の選ばなかったのも同じ木から取れるんだが、小藤の香りは虫に食われてなきゃよく出ない。この香りは、木が身を守るときのもんだからな」 静かに語る男の声を聞いて、暁はようやく彼の語った自負を素直に受け 入れた。銭と一緒に袋に収めようとしたところで男が声を掛ける。 「カゾの葉は持ってるか」 「カゾ? ……いいや」 首を振ると、男は脇の風呂敷を解いて掌一つ分はある葉を差し出した。水気が抜けて萎び、所々黒ずんでいる。 「焚く一日前までこれに包んどきな。虫の匂いの混ざりが無く なる」 「あ……ありがとう」 暁は立ち上がって頭を下げた。男は改めて布の対角を摘まみ、その中に自分の荷全てを詰めて四辺を結んだ。立ち上がって弓なりに背を伸ばすと、暁をじっと見下ろす。 「お前が何者かは知らんが、久々に面白かった。いい雨呼んで、秋にゃまた来いよ」 すぐに は返す言葉が浮かばず、暁はただ頷いた。 「そんときにゃあ元値きっかりだぞ。畜生、鈍三枚じゃ大損だ」 ぼやきながらもどこか、笑うような響きが含まれていた。暁は唇の端をぴくりと歪ませた。払うものは払うと大見得を切ったはいいものの、今の手持ちは鈍ひら一枚と朱ごろが数枚、賭けがなけ ればとても払えないところだった。秋までは脇目を振らず働くしかなさそうだ。 埃に汚れた彼の背を見送って、暁と紅砂は遅い帰路についた。 暁の部屋から漏れてくる薄らとした煙に紅花が顔を青くしたのは、それから数日後の夕、いよいよ出掛けようと縁側に出たときのこと だった。 「あか……あんた、今度は何やって……!」 力任せに障子を開けると、顔がまともに煙に包まれて、思わず咳き込んだ。息を落ち着けて目の前の煙を払うと、その向こうに暁が不満そうな目で突っ立っていた。手には小皿を持っており、部屋全体を薄く覆う煙はその中から湧き出しているのだ った。 紅花の来襲に慌てる様子もないのが、却って紅花を苛立たせた。暁に向かってつかつかと歩いていく。 「何やってんのって聞いてるでしょ、とにかく早く消し」 「開けるな」 遮られた紅花は足を止めた。いつもぼうっとしてばかりの暁の剣幕に、顔をしかめて障子を振り返る。しばら くそうしていたが、待っていても暁は同じ言葉を繰り返すだけだろうと判断し、戻って障子を閉めた。彼女の苛立ちを示して、開けたときと同じ、力任せの音が響いた。 「ほら、閉めたわよ。……ねえ、一体何してんのよあんた。何がしたいの」 「言葉で説明しても分からないだろう。見るんならそこへ 」 暁が示したのは一番北側の隅、玄関に近い方の襖の端だった。蒲団がすぐ傍に寄せてある。渋々そちらに腰を下ろすと、暁は紅花の右隣の隅、障子の近くへ歩いていった。 「また最初からやり直しだ……」 途中、そんな呟き声が聞こえたものだから、紅花は聞こえるように舌打ちして腕を組ん だ。 隅へ行くと、暁は部屋の中心を向いて座り、皿を手前に置いた。そして両手を前に出すと、それに重ねるように深々と額衝いた。畳から頭を上げるまで呼吸がたっぷり十ほど、その間紅花は、組んだ腕が解けるほど呆気にとられてそれを見ていた。 やがて暁は両手で皿を持って音も立てずに立ち 上がり、部屋の中心を通って向い側の隅まで歩いた。紅花の視界を右から左へ横切っていくのは、時に止まって見えるほど、ゆっくりした歩みだった。 隅に着くと、また中心を向いて額衝く。次に向かったのは中心ではなく、紅花の向いにある隅だった。そちらへ、一歩ごとに皿を持ち上げながら歩く。隅 に辿り着いたときには、両手を限界まで伸ばしていた。そこから最初に歩き出した場所まで、皿を下ろしながら歩いていく。 紅花は今や、どこか気味の悪いものを感じていた。軽い気持ちで火遊びしていると思ったから、声を荒げて押し入ったのだった。こんなに真剣に何かを――何をしているのかは未だ に全くの謎だったが、何かをしているとは予想しえなかった。 そもそも暁は先程から、何に向かっていちいち辞儀をしているのだろう。何か降りてでもくるのだろうか? 天井を見たが、紅花の部屋と別段変わりはなく、強いて言えば煙に霞んで見えるだけだった。 そうこう考えているうちに、暁は 一番最初と同じように中心に向かって礼をし、立ち上がって、今度は中心まで畳を踏んだ。そこで左へ方向を変え、紅花と向かい合うかたちとなる。そこで止まるかと思えば、暁は紅花には目も向けず、真っ直ぐ前を向いたまま歩いてきた。 紅花が体を反らせると、隅で止まり、反対を向いて中心へ戻って 行った。煙が濃く流れてきたが、そのとき初めて紅花は、その煙が沈丁花のような、ほのかな重さをもった香りを含んでいることに気付いた。しかしそれも一瞬で、ふっと溶けるように消えてしまった。 中心に戻った暁はその場に跪いて深く頭を下げると、左手で皿を覆い、右の袖でさっと皿を煽いだ。何 の動きも消えた部屋に、煙だけが高く舞っている。すっと暁が息を吸う音がした。 「……終わり。有難う、黙っていてくれて」 いつもと同じ、ゆっくりした口調だった。終わったら怒鳴りつけようと座っていたはずの紅花も、いつしか胸の中が穏やかに打つのを感じていた。 「うん……あたしだっ てね、あんたがこんな、何かよく分かんないけど大事そうなことやってるなんて知ってたら、開けたりしなかったわよ。何も言わずに始めるから、あたし、火なんか出てたら大変だと思って」 思えば、こんなに落ち着いて話をするのは初めてだった。暁が家に来て、彼女の話にいくつかの偽りを見つけて以 来、彼女との会話にはいつも義務感やぎこちなさが漂っていた。親しく話をする機会など山ほどあったはずなのに、前の口論の直前には、馴染まない彼女を気遣おうと決心したはずなのに、嘘を吐いたのは暁だからと、それら全てを奥底に押し込めてしまっていた。 それに気付いた今、弾かれたように、彼 女に聞きたいことが溢れてきていた。黄月も壬びとではあったが、風習や慣習については全く話そうとしなかったのだ。それに、いい香りのする煙を引き連れて、清めるように部屋中を練り歩く暁の姿は、まるでお芝居の一場面のように紅花の中に焼き付いていた。 紅花は部屋の中心にある暁の影に寄って 行った。 「ねえ、何なの今の。あたしに見せてくれたんだもん、壬びとだけの秘密ってわけじゃないんでしょ」 「うん、ええと……壬では雨呼びと言っていた。春分、夏至、秋分、冬至、の区切りごとに行うんだ。梅雨の只中に行う夏至の今日が、一番大事な日」 言われてみれば、今日は昼の一番 長い日なのだった。祭りの裏に隠れて、まるで忘れていた。 「壬の音の中に水が入ってるのとは、何か関係あるの」 「うん。水があるのは雲や陽の光のお陰だから。さっき歩いていた道筋も、陽や雲を模したものなんだ」 紅花が返事しないのに気付いて、暁は詳しく説明した。 「最初、紅花の 右手から左手に、つまり西から東に歩いた。あれが雲だ。煙を雲に見立てている」 「ああ……じゃあ次の、そっちに折れ曲がって歩いたのが陽ってわけ」 東から南を通って西へ、皿を頭の上に掲げるようにして進んだ暁を思い出した。 「最後に、今まで通らなかった北にも雲を捧げて終わり」 へ ぇ、と紅花が感嘆の声を上げた。坡城では一度として聞いたことのない話だった。きっと過去に酷い日照りの年があって、そのときに生まれた風習だ、などと頭が勝手に話を組み立てていくのがおかしかった。 「そんな面白い話があるんなら、もっと早く教えてくれれば良かったのに……。まあいいわ、それ より今からお祭りがあるんだけど、あんた一緒に行かない。川の向こうで花火も上がるの」 「え」 それは短く、棘のある返答だった。今までの穏やかな空気が突如として割れた気がした。 「別に、嫌なら無理にとは言わないけど」 「そうじゃなくて、雨呼びの後は、明日の日が昇るまで部屋は 開けないよ」 「あ、そう……いや、だから、あたしが出て行ってから、もっかい焚けばいいじゃない」 「香ほづ木はもう使い切ったし、あの式は日入りしてすぐにするものなんだ」 結んだ唇が震えていた。出来る限り穏便に終わらせようとしていたが、もう限界だ。紅花は肺の底まで息を吸った。 「馬鹿言わないでよね、あんたが雨呼びとやらを大事に思ってるのと同じように、あたしだって祭りを楽しみにしてたんだから!」 「祭りなんてただの娯楽だろう、雨呼びと一緒にするな。雨が絶えたらどうするつもりだ」 「そんなことあるわけないじゃない。昨日だってじゃんじゃん降ったし明日 も降るわよ、じゃんっじゃん降るわよ。そうよ、それにね、雨呼びは一年に四度もあるけど祭りは一度なの。一度くらいあたしに譲ったって罰当たんないわよ」 「夏至が一番大事だって言ったばかりじゃないか」 「そんなの……」 遠くで風を切るような甲高い音、続いて腹に響くような低い爆発音 が聞こえた。花火が始まったのだ。あぁー、と紅花が涙にも似た声を漏らす。ばっと立ち上がったが、暁が珍しく俊敏に動いて、先に障子をがっちりと塞いでいた。 「ちょっと、そこ! 障子開けて! せめてそこから見る!」 紅花は片手で障子を掴み、片手で暁の襟を掴む。しかし暁も障子をぴっち り閉めておくことに全力をかけ、意地でも動こうとはしない。 「開けない、って、言ったはずだ!」 暁の腕がぷるぷると震える。紅花は襟にかけた手を暁の頭に移した。髪がぶちぶちと音を立てる。 「こんなときだけ力発揮してんじゃない、わよ、どきな!」 ……そのうち、ぷつんと途切れ るように花火の音が止んだ。何事かと耳を澄ます二人が小競り合いを再開する前に、ざあっと雨の音が辺りを包んだ。 紅花が静かに暁の襟を放す。 「……あんたのせいだからね」 のろのろと立ち上がった紅花の後ろで、暁は襟を整えた。後頭部がひりひりと痛む。 「じゃんじゃん雨が降るっ て言ったのは紅花じゃないか」 「あたしが言ったのは昨日と明日で、今日は違うの!」 一呼吸置いて、二人同時に息を吐く。体の底から吐き出すような、長い長い溜息の音だった。 「蒲団ちょうだい。何かもう色々疲れた。……あんたもでしょ」 そのうち、雨に降られて坂道を駆け上ってく る家の者の足音が聞こえた。いつもなら出迎えてやる紅花だが、今日は意地でも起きようとはしなかった。
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Sachiko
| Дата: Воскресенье, 08.02.2009, 19:18 | Сообщение # 9 |
...ʁɔvʎнdǝʚǝdǝu dиw...
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| Yuna, вот вот))) и особенно прошу обратить внимание на: 「あの人はまだ気付いてないってことだ。これからどんどん隠すのが難しくなる、言うなら今だと思うけど」 暁は言葉なく首肯する。浬はそれから身を伸ばして、暁の傍らに置かれた刀を手に取った。 彼がその刀について何か言うことは無かった。唇を結んだまま鞘から刃を抜き、し ばらく眺めてまた戻す。暁が大事に抱えてきたことから、それが何であるかは気付いているようだった。それでも元通りに置いてからは、刀のことなどすっかり忘れたかのように、暁を殴り飛ばしたときの針葉の形相について耳打ちするのだった。 Если это не будете соблюдать, бан два дня.... 
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Akimoto
| Дата: Воскресенье, 08.02.2009, 20:58 | Сообщение # 10 |
{ Sexy Bitch }
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| 花の後ろで、暁は襟を整えた。後頭部がひりひりと痛む。 「じゃんじゃん雨が降るっ て言ったのは紅花じゃないか」 「あたしが言ったのは昨日と明日で、今日は違うの!」 一呼吸置いて、二人同時に息を吐く。体の底から吐き出すような、長い長い溜息の音だった。 「蒲団ちょうだい。何かもう色々疲れた。……あんたもでしょ」 そのうち、雨に降られて坂道を駆け上ってく る家の者の足音が聞こえた。いつもなら出迎えてやる紅花だが、今日は意地でも起きようとはしなかった。 А вот за это будем с ролы удалять и банит ИП!!
Каждый хочет жить так, как ему хочется. И ни один человек в этом гребанном мире не может тебе сказать "нет". Твои желания, твои возможности. 
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Akimoto
| Дата: Понедельник, 09.02.2009, 21:23 | Сообщение # 12 |
{ Sexy Bitch }
Группа: А д м и н к О^^
Посты: 3583 СтатусС: Смайл настроения: 
| а давай 馴染まない彼女を気遣おうと決心したはずなのに、嘘を吐いたのは暁だからと、それら全てを奥底に押し込 заменем на のうち、雨に降られて坂道を駆け上ってく る家の者の足音 ? 
Каждый хочет жить так, как ему хочется. И ни один человек в этом гребанном мире не может тебе сказать "нет". Твои желания, твои возможности. 
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Madara1
| Дата: Вторник, 17.02.2009, 16:04 | Сообщение # 15 |
Глава Акацки
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